私はもう祈らない

水煙の王へ

捧ぐは愛の完遂

まほろばの掟

誰もが言祝ぐ二人だった

兆しなき別れ

彼は滝壺

未完の想い背負わされた

決して忘れぬと誓えど

出会ってしまった新たな春

ふたりを裂くあまたの手

小さな蕾ごと

森も空気もせせらぎも

わたしの優しき導き手

月が顔を背けても

あなたのもとへ行く道すがら

明かりを灯すことはない

美しい時代

戻れぬ場所

かつてそこには

枝葉も風も濁流も

私の無慈悲な裁き手

星々に嘲られても

あなたのもとへ行く道すがら

明かりを

落ちろ

鱗にまみれた身体で

今は深く潜るのみ

あなたの影を探すように