歌词
おれは書き出したら止まらない詩をめざし、
我渴望一支一旦寫下第一筆就無法停止的詩
最初の一行に中古車のエンジンをとりつけた
於是給這第一行安上了二手車的引擎
想像できなかったことも歴史のうちなのだよ、
“就算是無法想象的事物會也被歷史所囊括的喲”
と、ガソリンスタンドのオヤジさんが言った
加油站的老爹對我説道
何の報いだったというのだろう
到底是作了啥孽
この詩は最初の一行が走り出してしまったら
如果這首詩的最初的第一行開始飛奔的話
髪を刈るひまも 一枚のレコードを裏返すひまも
去理個髮的閑工夫也好 把唱片翻個面的閑工夫也好
精神科医の鑑定をうけるひまもなくなってしまうのだ
就連去精神科看看腦子的閑工夫都不再有
それは全速力でおどり狂う びっこのダンスマラソンだ
這是一場全速的狂舞 瘸子的舞蹈馬拉松
フレーズのペダルを前車輪から除き、
把樂章的踏板從前車輪上拆下
ペダル付属の小歯輪を鎖で心臓にむすびつける
把踏板附帶的小齒輪栓在心臟裏
それからおれは二、三人の親しかった者たちへ
這之後我與曾相好的兩三人
おさらばの挨拶ぐらいは、しておこう
去做了道別的問候
いましがた
方才
おれは、おれの留守に
我 進入了我所不在的
おれの部屋に入ってみた
我的房間
カーテンのすきまから洩れて入ってくる すじの陽の光
幾道被窗簾縫隙割裂的陽光 滲進了房間
文字でしかなかった詩の数々
我看見了許多衹有文字的詩
ない過去を思い出すための詩
爲了回憶起不曾有過的過去的詩
自分に宛てた、ペンフレンド募集のための詩
寄給自己 募集筆友的詩
一分間に十行しか読めない詩
一分鐘衹能讀上十行的詩
一行と次の一行までのあいだに雑草が生えてしまった詩
一行與下一行之間雜草叢生的詩
孤立し、内部世界へとじこもり、
孤立 蝸居在内部世界
駒鳥をいたわるだけにすぎない詩
不過衹是鴕鳥一般慰勞的詩
洗面器一杯のヘドより軽い詩
比一洗臉池嘔吐物要輕的詩
出会いを待つための待合室におかれてある、
爲了等待相遇被放置在等待室
なぐさめの一輪ざしの詩
給人安慰的小花瓶一樣的詩
車輪のついていない詩
沒有按上車輪的詩
署名するだけの詩
衹有署名的詩
書かなければ忘れられてしまうと思って、
想著如果不寫下就會被忘卻
オールドミスたちがさえずりまくる詩
老處女們嘰嘰喳喳的詩
七人の失業者の回覧板でしかない詩
衹同七人失業者登在告示板上的詩
国境をこえるとただの紙屑となってしまう詩
如果跨越國境不過一張廢紙的詩
おれはレインコートの襟を立てて 広場の片隅
我把雨衣的領角立起 站在廣場的一角
空っ風に吹かれながら 言葉の引き金をひく機会を待っている。
乾燥的風吹著我 我默默等待扣下語言的扳機的機會
走りながら撃つために一行のエンジンは
爲了一邊移動一邊射擊 第一行的引擎
すでに音を立てはじめている
開始轟鳴
おれはいままで十万ページ書き 書いた分だけ失った
我到現在已寫下十萬頁 只丟失了寫下的部分
頭髪を逆立て ブリキ缶を灰皿がわりに 猶予と装填
頭髮倒竪 將馬口鐵罐當作烟灰缸 猶豫和裝填
すでに理性の現実態として、管理し、支配する国家をさえ
衹要從作爲理性的即成現實態 被管理和支配的國家中掙脫出來
抜けだし 詩は地下水のように 血の中をはしりまわる
詩就像地下水一樣 在血中回流
書くのではない 撃つのだ
不是書寫 而是射擊
そこには ホーマーの大航海も ガルガンチュアの戦争もないだろう
這樣一來 不管是溫格斯霍默的大航海 還是巨人囯的戰爭
比喩も文法も 歴史も 内面的集団化も
比喻,語法,歷史,内部的集體化
アルタミラの洞窟の 百行の啓示も
阿爾塔米拉山洞窟裏百行的警句
予言者ヨナの くじらの腹の大暗黒もないだろう
預言家約拿所經歷的鯨魚腹中的大暗黑都將不再存在的吧
たたみ一畳よりも大きな書物の
比一曡榻榻米略大的書籍
最初の頁の 鋼鉄の蝶番のきしみも
在最初的一頁 就連鉄製的合叶壓痕
シュペングラーの千匹のほたるの光さえもないだろう
或者斯宾格勒的一千匹螢火蟲的光芒都沒有
書くために 撃つのだと 引き金にかけた両手にかかる
是爲了書寫的射擊 兩手相叠按住扳機
世界中の夜霧のあつさを越えて おれは大鳥を撃ち
越過覆蓋世界的夜霧的厚度 我射中了一隻大鳥
みずからの幻想の飛行船を 空中に爆破する
將自己幻想中的飛行船 在空中爆破
ランボーも ヴェルレーヌも マヤコフスキーも
藍波 保爾·魏爾倫 马雅可夫斯基
ロートレアモンも、ギンズバーグも、ロルカも
路特雷阿門 金斯堡 洛尔卡
エリュアールも、アラゴンも、トリスタン・ツアラも
爱拉德 阿拉贡 特里斯坦·图亚拉
ブルトンも たかが書物でしかなかったのだ
布列塔尼 充其量不過是一些書籍
この歴史の薄暮に
在這片歷史的薄暮中
マッチ一本で燃やされてしまう書物でしかなかったのだ
衹有能被僅僅一根火柴輕易銷毀的書記
書かれたときに、詩は失われてしまった
黨凝結成文字的時候 詩便消失了
声に出して読まれたとき それは喜劇だった
黨被出身朗讀的時候 詩成了喜劇
言葉の引き金を引いたとき
當扣下語言的扳機的時候
すでにひとたちの胸の中で、
在人們的心中
おれは撃たれて死んで しまっていたのだから
我已中彈倒下了
言葉の引き金を引いたとき
當扣下語言的扳機的時候
すでにひとたちの胸の中で、
在人們的心中
おれは撃たれて死んで しまっていたのだから
我已中彈倒下了
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